国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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平成17年度調査結果概要

事業一覧

 1 海洋水産資源利用合理化開発事業(まぐろはえなわ)
 2 海洋水産資源利用合理化開発事業(海外まき網:熱帯インド洋海域)
 3 海洋水産資源利用合理化開発事業(海外まき網:熱帯太平洋中部海域)
 4 海洋水産資源利用合理化開発事業(いか釣:北太平洋中・東部海域及び南太平洋西部海域)
 5 海洋水産資源利用合理化開発事業(かつお釣)
 6 大水深沖合漁場造成開発事業
 7 資源管理型沖合漁業推進総合調査(日本海べにずわい)
 8 資源管理型沖合漁業推進総合調査(三陸沖きちじ等)
 9 新漁業生産システム構築実証化事業(大中型まき網)
10 新漁業生産システム構築実証化事業(沖合底びき網:2そうびき<日本海西部海域>)
11 新漁業生産システム構築実証化事業(沖合底びき網:かけまわし<北海道日本海側>)
12 新漁業生産システム構築実証化事業(遠洋底びき網<マルチトロール>)

 

事業ごとの調査概要

 1  海洋水産資源利用合理化開発事業(まぐろはえなわ)
         メバチ漁場の再開発と縁辺的拡大および操業の合理化と生産性の向上を調査

背景と調査目的
我が国のまぐろはえなわ業界はマグロが過剰漁獲であるとのFAOの勧告を受け平成11年に2割減船を実施した。他方、魚価は景気回復の遅れやはえなわ漁業新興国で漁獲されたまぐろ並びに外地蓄養物の国内搬入の増加により長期低迷し、漁業者は経営に苦慮している状況にある。
本調査事業は、太平洋中・東部海域におけるメバチを主対象として、既存漁場の再開発の可能性と縁辺的拡大を追求するとともに、操業の合理化と生産性向上の追求を目的とし行った。
    

実施海域
太平洋中・東部海域

17年度の課題
1 生産製品目標270トン
2 メバチ漁場の縁辺的漁場拡大のためタヒチ南東水域を調査する。
3 メバチの鉛直的日周行動にあわせた効率的な漁具の開発及び操業方法を検討する。
4 冷凍餌と人工餌の釣獲率を比較し、人工餌導入可能性を調査する。
5 船上加工技術の開発及び生産体制を検討する。

実施概要
開発丸(489トン)を周年用船し、207回の操業調査で289.8トンを漁獲した。年度内の生産製品は249.8トンであった。

成果
1 製品生産目標達成率は92.5%であった。
2 既存漁場の縁辺的拡大を図るため、タヒチ南東水域において10月上旬から下旬にかけて28回の操業調査を実施した。製品数量の合計は66.4トンであった。釣針数3000本とした1操業日あたり生産金額を、平成18年4月に水揚げしたときの製品販売単価を用いて試算すると1282千円であった。この結果は平成16年の遠洋まぐろはえなわ漁船の採算金額を上回っていることから、当該水域においては10月上旬から下旬にかけて企業的操業に耐えうる漁場が形成されていたと判断される。当該結果と平成12年度から実施してきた過去の調査結果を考慮すると、当該水域では9月中旬から11月上旬に企業的操業が可能と判定される。
3 昼間の深縄操業(朝まずめ操業+昼操業)と夜間の浅縄操業(夕まずめ操業+夜操業)におけるメバチの昼夜別CPUE(尾/1000針)は、北緯水域においては昼間3.9、夜間3.1、洋心部水域においては昼間4.1、夜間3.1で、両水域とも昼間のCPUEが高かった。
4 人工餌(原料:マンナンと魚エキス)と通常餌の比較調査を14回実施した。人工餌範囲と通常餌範囲でメバチのCPUE(尾/1000針)を比較した結果、通常餌範囲7.9、人工餌範囲4.8で、通常餌範囲のCPUEが高かった。
5 新凍結製造システムについては、メバチ及びキハダのロインならびにフィーレ凍結製品を合計23.8トン(GG製品換算)生産した。自動裁割機は省人省力化を目的として設置しているが、所期の目的を達するには解決すべき課題が認められた。


成果報告
17年度開発ニュース(No.335)平成18年7月
担当者
開発調査センター 浮魚類開発調査グループ 廣川 純夫・上原 崇敬・佐藤 長一 電話 045-227-2735

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 2  海洋水産資源利用合理化開発事業(海外まき網:熱帯インド洋海域)
     インド洋の漁場の拡大と効率操業をめざす


背景と調査目的
我が国の海外まき網漁業は、1980年代後半のインド洋海域における日本丸の調査結果等を踏まえ、1992年の一斉更新時に本許可を受け当該海域に10隻が進出した。しかし、当該海域での操業は、不安定な漁獲、水揚地、円高、魚価安等の影響により採算的に厳しく、2000年漁期以降行われていない。また、当該海域では流れ物付き操業により若齢マグロ類の漁獲が多いことからインド洋マグロ類委員会(IOTC)において、マグロ資源保護のため漁獲努力量の削減等が検討されている。
本事業は、インド洋海域におけるまき網漁業の効率的な周年操業を探求するとともに、若齢マグロ類の漁獲を最小化する手法に関して調査を行った。
    

実施海域
熱帯インド洋海域

17年度の課題
1 生産製品目標3,284トン
2 漁場の有効利用と効率的な操業パターンを探求する。
3 人工流木等に蝟集する魚群を対象とした操業調査による時期別・水域別のCPUE、魚種及び体長組成についての調査を行う。
4 漁場の縁辺的拡大のため西部公海水域及びチャゴス水域における企業化調査を行う。

実施概要
日本丸(760トン)を周年用船し、132回の操業調査を行った。製品生産数量は6,686.1トンであった。

成 果

1 生産製品目標達成率は203.6%であった。
2 気象及び海洋環境に関する衛星情報利用技術の習熟が進んだこと等から、調査船の生産製品数量は6,686.1トン及び金額681,607千円は、インド洋海域で当業船が周年操業すると仮定した場合の年間採算金額5億円及び年間漁獲数量(平成17年度販売単価101.9円/kg)を、それぞれ大きく上回ったことからインド洋における海外まき網漁業による周年操業の可能性が示唆された。
3 本年度調査で、マグロ類組成が50%以上で、かつ、サイズ組成において「3.4kg上」以下が主体であった海区は、昨年度同時期の漁獲においてもほぼ同様の結果が得られており、若齢マグロ類が多く出現する時期と水域には一定の傾向があることが示唆された。このことから若齢マグロ類が多く分布する時期・水域を避けて操業することにより、若齢マグロ類の漁獲を最小化できる可能性が示唆された。
4 漁場の縁辺的拡大に関する調査においては、これまでの調査における漁場滞在1日当たり漁獲量について東部公海域と比較すると、チャゴス水域については年変動があるものの東部公海域を上回る年が多く、企業化が可能な漁場と判断された。一方、西部公海域は年変動が大きく、引き続き調査を進める必要がある。


成果報告
17年度開発ニュース(No.336)平成18年7月
担当者
開発調査センター 浮魚類開発調査グループ 廣川 純夫・栗原 彰二郎・近藤 太一郎 電話 045-227-2735

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 3  海洋水産資源利用合理化開発事業(海外まき網:熱帯太平洋中部海域)
  熱帯太平洋での漁場の縁辺的拡大と若齢マグロ類の漁獲最小化をめざす


背景と調査目的
我が国のまき網漁船(35隻)は、熱帯太平洋中・西部海域において年間17~19万トンの安定した漁獲を揚げている。他方、当該海域では台湾まき網漁船の増強や欧州の大型まき網漁船の進出もあって満限状態であるほか、若齢魚の漁獲によるマグロ資源への影響が懸念されており、資源管理を進めるため中西部太平洋マグロ類条約が批准された。
本事業は、主として東経160度以東の熱帯太平洋中部海域において既存漁場の縁辺的拡大を図り、また、若齢マグロ類の漁獲を最小化する手法に関して調査を行った。
    

実施海域
熱帯太平洋中部海域

17年度の課題
1 生産製品目標3,850トン
2 既存漁場の縁辺的拡大のため重点調査水域を調査し、漁場としての企業化の可否を判定する。
3 流れ物付き操業における若齢マグロ類の漁獲を最小化する手法に関し調査する。
4 カツオの脂肪含有量について調査する。

実施概要
第18太神丸(349トン)を周年用船し、97回の操業調査を行った。漁獲物生産数量は3,717.7トンであった。

成 果

1 製品生産目標達成率は96.6%であった。
2 既存漁場の縁辺的拡大に関する調査において、5日以上漁場滞在し好漁獲を得た水域と時期は、
      ●北緯5度以北の水域では、7月下旬に流れ物付き群を対象に5回の操業で195トンの漁獲を得た東経北緯公海水域
      ●西経水域では、8月上旬に流れ物付き群を対象に4回の操業で185トンの漁獲を得た西経北緯公海水域
      ●南緯5度以南の水域では、11月中旬に素群と流れ物付き群を対象に6回の操業で205トンを漁獲した東経南緯公海水域及び12月下旬から1月初旬にかけて10回の操業で310トンを漁獲したツバル200海里水域、であった。
3 流れ物付き操業における若齢マグロ類の漁獲を最小化する手法について、各魚種のサイズとTS(反射強度)の関係を把握し、計量魚探のエコーグラムと当該魚群から得た漁獲物組成との対応関係を調査し、エコートレースに着目することでマグロ魚群の魚種・サイズ組成を推定できる可能性が示唆された。
4 カツオ脂肪含有量の船上測定の可能性を検討するため、静岡県水産試験場と共同でハンディータイプ測定器を用い調査を実施し、重回帰分析を行って作成した検量線にて得られた予測値と化学分析値とでは、あるシャッタースピードで測定した場合に両者に高い相関が認められた。


成果報告
17年度開発ニュース(No.337)平成18年7月
担当者
開発調査センター 浮魚類開発調査グループ 廣川 純夫・栗原 彰二郎・阿部 周太・大島 達樹・ 豊永 三紀雄・木村 拓人  電話 045-227-2735

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4 海洋水産資源利用合理化開発事業(いか釣:北太平洋中・東部海域及び南太平洋西部海域)
   北太平洋海域のアカイカの効率的な操業パターンの確立とニュージーランド水域でのいか釣漁場の再開発を

  目指す。

背景と調査目的
北太平洋海域におけるこれまでのアカイカ資源を対象としたいか釣り新漁場開発調査の結果を基に、アカイカを対象とした効率的操業パターンの確立と脱落防止に関する手法の開発等の調査を実施してきた。
一方、南西大西洋海域での資源状態の悪化や政情不安に伴い、大型いか釣り漁船が安定的に操業を行える水域を確保する必要が生じたことから、平成14年度より南太平洋西部海域(ニュージーランド水域内)でのいか釣り漁場の再開発を目的とした調査を行っていた。
本調査事業では、これら両水域を組み合わせた効率的な周年操業の可能性を追求することを目的とした調査を行った。
                  

実施海域
北太平洋中・東部海域、南太平洋西部海域

17年度の課題
1 北太平洋中・東部海域のアカイカ及び南太平洋西部海域のスルメイカ類を併せて生産製品目標を470トンとする。
<北太平洋中・東部海域>
2 アカイカ漁場の縁辺的拡大を図り、西経域における企業化の可否を判定する。
3 アカイカの脱落防止手法について検討する。
<南太平洋西部海域>
4 ニュージーランドスルメイカ及びオーストラリアスルメイカの分布状況と海洋環境との関連性について検討するとともに生物学的情報を収集する。
5 企業化の可能性を追求する。

実施概要
大型いかつり漁船「第八白嶺丸(276トン)」を使用して、北太平洋・東部海域では平成17年6月から9月まで、南太平洋西部海域では平成17年4月から5月まで及び平成17年11月から平成18年5月までの間、それぞれ調査を行った。
それぞれの生産量は、北太平洋中・東部海域で46トン、南太平洋西部海域で467トンで、両水域あわせて513トンであった(目標の109%)。

成果
<北太平洋中・東部海域>
1 製品生産目標達成率は109%であった。
2 アカイカ漁場の縁辺的拡大については、34日間探索・操業を行ったが、漁獲は低調で大型いか釣船の推定採算ラインに遙かに及ばず、縁辺的拡大の実現には至らなかった。
3 アカイカが触腕のみで針にかかった場合の釣獲初期の衝撃を吸収し、脱落率低減を図ることをねらいとしたゴム式及びバネ式2タイプのクッション針を試作して調査を行ったが、いずれのタイプも脱落率低減効果はみられなかった。
<南太平洋西部海域>
4 調査を実施した12月~4月の時期においてニュージーランドスルメイカの高いCPUEが出現した水域の表面水温範囲は、11~16℃であった。今後、この水温帯を指標として探索した場合の好漁域発見の確率につき調査を行い、この水温帯が当該種の有効な探索の指標となり得るか否かを確認する必要がある。他方、オーストラリアスルメイカについては、漁獲と表面水温との関連性についての情報がニュージーランドスルメイカに比し少ないことから、今後も情報を継続して収集する必要がある。
4 オーストラリアスルメイカの漁獲は、12月上旬のニュージーランド西側に位置するフェアウェル岬北方において相対的に多かった。ニュージーランドスルメイカの漁獲は、ニュージーランド東~南側のベリアンバンク・ダニーデン沖・ソランダーの各水域において相対的に多かった。これらの水域における漁場滞在1日あたりの推定生産金額を試算した結果、上記の水域では時期により、大型いかつり漁船の採算金額を上回る好漁域が形成されたことを確認した。他方、全航海を通してみると水揚金額は採算金額をやや下回った。なお、我が国の大型いか釣り漁船は本調査船のこれまでの調査結果に基づき、ニュージーランド水域に4隻入域した。


成果報告
17年度開発ニュース(No.331・ No.332)平成17年12月・平成18年8月
担当者
開発調査センター 底魚・頭足類開発調査グループ 小河 道生・越智 洋介・黒坂 浩平・笹尾 信  電話045‐227‐2729
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5  海洋水産資源利用合理化開発事業(かつお釣)
    トロカツオ、トロビンナガの漁場開発、イワシ類の代替活餌に関する調査


背景と調査目的
遠洋かつお一本釣による年間漁獲量は、9万トン前後と安定している。他方、他漁業との競合による魚価安や活餌の供給不足などの課題があり、生食としてより高品質製品を得る安定した漁場の開発や代替活餌の開発が望まれている。このため、トロカツオ及びトロビンナガを対象とした周年操業の可能性を探求するとともに、合理的な操業パターンの確立を図ることを目的として調査を行った。
                 

実施海域
太平洋中・西部海域

17年度の課題

1 生産製品目標598トン
2 5~11月は北太平洋の日本東方沖合海域から西経域において、12月以降はタスマン海公海域、ニュージーランド東方公海域及びタヒチ南東水域において、トロカツオ・トロビンナガを対象とした漁場形成状況を調査する。
3 イワシ類に替わる活餌として、サバヒー導入の可能性について調査する。
4 冷凍カツオの高品質製品製造のための品質比較調査を行う。

実施概要
第18日之出丸(359トン)を周年用船し、4月上旬にタスマン・ニュージーランド海区の調査で120.2トンを、5月上旬~11月中旬の日本東方沖合海域から西経域の調査及び12月下旬~翌年3月上旬のタヒチ海区からタスマン・ニュージーランド東側海区の調査で計912.8トンを水揚げした。販売数量は合計1,033.0トンであった。

成 果
1 製品生産目標達成率は172.7%であった。
2 日本東方沖合海域の調査では、カツオ主体に良好な漁獲があった時期と場所を4箇所確認した。また、ビンナガ主体の良好な漁獲があった時期と場所を2箇所確認した。タスマン・ニュージーランド海区及びタヒチ海区において、カツオ主体に良好な漁獲があった時期と場所を1箇所確認したが、ビンナガについては確認に至らなかった。
3 サバヒーの沈下行動を抑制する手法に関する陸上試験を行い、各種処理後の水中行動を肉眼及びビデオカメラ2台で観察し、効果を確認した。また、活餌として、陸路搬入、船上における斃死量及び操業調査、燃油消費量調査等を実施し、活餌をすべてサバヒーとした場合の燃料削減効果は1日あたり約1klの節約になる等の結果を得た。
4 静岡県水産試験場と共同でB1カツオと脱血カツオの品質比較調査を行い、品質比較では大きな差が見られなかったが、官能試験では脱血カツオは独特の血生臭さを軽減する効果があるとの評価を得た。


成果報告
17年度開発ニュース(No.338)平成18年7月
担当者
開発調査センター 浮魚類開発調査グループ 廣川 純夫・伊加 聖・酒井 猛・阿部 周太     電話 045-227-2735
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6  大水深沖合漁場造成開発事業
     中層型浮魚礁による漁場造成は水深2,000~3,000mにも拡大可能なことを確認


背景と調査目的
南西諸島周辺水域は近海かつお一本釣漁船等にとって重要な漁場である。これまで漁場として有効に利用されていなかった水深2,000~3,000mの大水深域において、カツオ・マグロ類を対象とした中層型浮魚礁漁場を造成して漁場の拡大を図り、我が国排他的経済水域の一層の高度利用と近海かつお・まぐろ漁業の経営安定に資することを目的として調査を行った。
                 

実施海域
北太平洋西部(日本沖合)海域
17年度の課題

1 平成16年度に設置したかつお釣・曳き縄用の中層型浮魚礁の漁場造成効果を確認する。
2 平成14・15年に設置した、まぐろはえ縄・旗流し用中層型浮魚礁(計4基)の魚類蝟集を確認する。
3 平成15・16年度の標本船のデータを使用し、南西諸島周辺水域における中層型浮魚礁漁場の経済性の評価をする。

実施概要
1 第18太幸丸(69.69トン)を周年用船し、南西諸島東側水域の中層型浮魚礁でカツオ・マグロ類を対象とした一本釣操業調査を行った。
2 一本釣で829回操業し、カツオ、キハダ、メバチ主体に306トンを漁獲した。
3 まぐろはえ縄・旗流し用の中層型浮魚礁では、魚類蝟集を確認するため音響調査、旗流し調査等を行った。
4 近海かつお一本釣漁船と曳縄船の標本船調査を行い、漁獲量、水揚金額及び支出等の年間収支、センター設置中層型浮魚礁への依存度などを調査した。

成 果
1 4月から3月までの操業1回あたりの平均漁獲量は、既存中層型浮魚礁漁場で336kg/回、16年度に設置した中層型浮魚礁で581kg/回であった。後者は、既存浮魚礁漁場の操業1回当たり平均漁獲量を上回っており、かつ魚種組成、主要魚種の体長組成も既存浮魚礁とほぼ同様の傾向を示した。このように16年度に設置した中層型浮魚礁は増産目標を達成しており、南西諸島東側の大水深域にも中層型浮魚礁を用いて周年利用可能な漁場を造成し拡大することができることを確認した。
2 まぐろはえ縄・旗流し用の浮魚礁では、魚類蝟集効果を確認するため魚礁を中心に放射状に設定した定線における音響調査を33回行い、魚群の反応を35群確認した。旗流し調査を33回行い、メバチ1尾、キハダ1尾、シイラ1尾、ヨゴレ1尾、ヨシキリザメ1尾、ミズウオ2尾、エイ類1尾を漁獲したが、手釣りの漁獲は皆無であった。
3 近海かつお一本釣船の約67%を占める船齢10年以上の漁船について、南西諸島東西両水域の中層型浮魚礁及びその周辺から五島沖を主漁場とするグループとカツオを追い南西諸島水域から三陸沖にかけて操業するグループに分けて中層型浮魚礁の利用状況並びに漁業経費等について調査したところ、前者の方が後者と同等以上の漁獲を見込め、かつ、乗組員の削減並びに燃油代及び餌代の節減を可能にし、その経営の改善に有益であることが明らかとなった。また曳縄標本船の中層型浮魚礁への漁獲量依存度、水揚げ金額依存度は非常に高く、中層型浮魚礁漁場は最も重要な漁場であると評価される。

成果報告
平成17年度開発ニュース(No.341)平成18年7月
担当者
開発調査センター 資源管理開発調査グループ 佐谷 守朗・会田 晴英・宮川 震一・酒井 猛・鶴 専太郎   電話 045-227-2740
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7  資源管理型沖合漁業推進総合調査(日本海べにずわい)
    小型個体の混獲を防止するかにかご漁具の開発の可能性を追求する


背景と調査目的
日本海におけるベニズワイは全てかにかご漁業によって漁獲されており、その漁獲量は1994~1998年の期間は20,000~25,000トンで推移していた。その後、日韓北部暫定水域が設定された1999年以降は減少に転じ、2002年には約13,000トンまで減少した。
また、かにかごの漁場が日韓北部暫定水域を除く我が国の水域に集中したことにより1かご当たりの漁獲量が減少、漁獲物が小型化するなど資源の悪化が進行していると推測され、2005年4月には水産庁が資源回復計画を発表した。これに対し、関係業界も資源回復のための漁具の開発を切望している。
このため、漁業者による自主的な資源管理型漁業を推進するための方策のひとつとして、漁獲対象外の個体の減耗を防ぐため、当該個体の混獲を防止するかにかごの開発の可能性を追求することを目的として調査を行った。
                 

実施海域
日本海(大和堆周辺)海域
17年度の課題
脱出口を用いて雌と甲幅9cm以下の雄の個体の混獲を防止するかにかごの開発の可能性を追求するために以下の調査課題を実施する。
1 脱出口付きかごの製作費の削減を図る。
2 平成16年度調査で脱出口付きかごが満たすべき要件に最も近かった内径100mmの脱出口6個付き15cm目合かご(要件:甲幅9cmより大きい雄の漁獲尾数を現行の15cm目合かご並みとし、かつ、漁獲が禁止されている雌と甲幅9cm以下の漁獲尾数を18cm目合かご並みとする)の性能を実操業レベルで検証し、当該かごの評価を行う。
3 現行の制限条件で使用か許可されている内径95mm脱出口6個付き13cm目合かご(要件:甲幅9cmより大きい雄の漁獲尾数を13cm目合かご並みとし、かつ、漁獲が禁止されている雌と甲幅9cm以下の漁獲尾数を15cm目合かご並みとする)の性能を実操業レベルで検証し、当該かごの評価を行う。

実施概要
1 昨年度使用した金属製脱出口付きかごの1かごあたりの製作費は9,500円であり、通常かごの4,800円に比べ高価であった。今年度はプラスチック製脱出口付きかごを導入し制作費の削減を図った。
2 第八明神丸(158トン)を8月29日から10月28日まで用船し、大和堆の周辺水域で52回の操業調査を行い、内径100mmのプラスチック製脱出口6個付き15cm目合かご及び内径95mmのプラスチック製脱出口6個付き13cm目合かごが、上記の課題で定めた脱出口付きかごが満たすべき要件を満足するか否かについて実操業レベルで検証した。
3 52回操業調査を行い、総漁獲量32.2トン、製品量17.7トンであった。

成 果
プラスチック製脱出口付きかごの製作単価は5,788円で従前の金属製脱出口付きかごに比し3,721円減額し、通常かごに比しても988円の増額にとどまった。
プラスチック製100mmの脱出口6個付き15cm目合かご、プラスチック製95mmの脱出口6個付き13cm目合かごともにほぼ要件を満たした。
プラスチック製脱出口付きかごは、制作費の削減、取り付け作業が安易で作業場所が限定されないこと、軽量なこと等から脱出口付きかごを普及させるための障害は低減されたと思われる。導入に当たっては、資源涵養効果という観点からみると100mm脱出口付き15cm目合かごがふさわしいと思われるが、当該漁業の経営が不安定であるという現状を考えると、まず、95mm脱出口付き13cm目合かごを導入し経営を安定させ、次いで100mm脱出口付き15cm目合かごを導入することが経営安定と資源回復のためのひとつの手法であると考えられる。

成果報告等
17年度開発ニュース(No.334)平成18年 2月
担当者
開発調査センター 資源管理開発調査グループ 佐谷 守朗・原田 誠一郎  電話 045-227-2740
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8  資源管理型沖合漁業推進総合調査(三陸沖きちじ等)
     小型魚を効率的に逃がす選別式コッドエンドの開発の可能性を追求する。


背景と調査目的
太平洋北部水域における沖合底びき網漁業のキチジの漁獲量は、1971年2,772トンをピークに減少を続け1997年には過去最低の229トンとなった。資源水準は非常に低位で横ばい傾向にあると考えられている。このため水産庁は2003年に、太平洋北部沖合性カレイ類資源回復計画の中でキチジ資源も回復すべき重要魚種と位置づけて保護区を設定し、資源の回復に努めているところである。
他方、1999年~2001年には、それ以前と比較して1歳魚と推定される個体の増加が見られ、小型魚を保護することは本資源の回復を加速させるために重要であり、水産庁と関係業界は、これら小型魚を保護するための方法を探っていた。
この様な背景のもと、キチジ等を対象とした沖合底びき網漁業において標準体長10cm以下の小型魚を効率的に逃がす選択網(コッドエンド上部に角目網を使用した選別式コッドエンド)の開発の可能性を追求することを目的として調査を行った。
                 

実施海域
太平洋北部水域(三陸沖合海域)
16年度の課題
キチジ等を対象とした沖合底びき網(2そうびき)漁業において標準体長10cm以下のキチジ小型魚を効率的に逃がす選別式コッドエンドの開発の可能性を追求する。
昨年度は、当該選別式コッドエンドの目標である標準体長10cm以下のキチジの脱出率70%を達成できなかった。その要因として、「ふるい」の部分である角目網の取付面積が小さかったことが推察された。
本年度は、「ふるい」に内径62mm及び内径78mmの角目網を用い、その取付面積を拡大することより,標準体長10cm以下のキチジ小型魚のコッドエンドからの脱出率を70%とする選別式コッドエンドの開発の可能性を追求する。

実施概要
1 第1勝運丸(75トン)、第101勝運丸(75トン)を2月から3月の2ヶ月間用船し、三陸沖合海域で108回の操業調査を行い、通常コッドエンド天井部に角目網(内径:63mm,79mm)を用いた選別式コッドエンドからの漁獲物の脱出率を調査した。
2 63mm角目網を「ふるい」を用いたものではコッドエンド天井部後部のみのもの(以下、後部63mm角目網)とコッドエンド天井部全面のもの(以下、全面63mm角目網)を、79mm角目網のそれではコッドエンド天井部全面のもの(以下、全面79mm角目網)を、それぞれ使用した。平成16年度の取付面積を100とした場合、本年度の角目網は、後部角目網で160、全面角目網で320であった。
3 第101勝運丸は54回操業調査を行い、総漁獲量45.0トン(キチジ5.9トン)で、第1勝運丸は54回操業を行い、総漁獲量47.7トン(キチジ5.9トン)であった。

成 果
標準体長10cm以下のキチジの脱出率は、後部63mm角目網で74%、全面63mm角目網で66%、全面79mm角目網で81%であった。このように、後部63mm及び全面79mm角目網は目標値である70%を達成し、全面63mm角目網も目標値の9割以上の脱出率を達成した。これらの結果は、コッドエンドにおける角目網取付面積の拡大が脱出率の向上に効果的であることを示唆している。また、63mm角目網の結果は、コッドエンド前部に比し後部での取付面積が重要である可能性を示唆している。

成果報告等
17年度開発ニュース(No.343)平成18年8月
担当者
開発調査センター 資源管理開発調査グループ 佐谷 守朗、原田 誠一郎、片山 貴士 電話 045-227-2740
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9  新漁業生産システム構築実証化事業(大中型まき網)
     大中型まき網漁業で資源状況と漁業経営に見合う新たな生産システムの実証化


背景と調査目的
北部太平洋海域の大中型まき網漁業(135トン型)は1ケ統4~5隻、乗組員45~50人体制でカツオ・マグロ類、イワシ・サバ類を対象に操業を行っている。近年、その経営は諸経費の高騰、マイワシ・サバ資源の低水準での推移及び魚価の低迷等により悪化している。そのため、資源水準に対応可能な船団規模の操業形態への転換が求められている。
本事業は、網船と運搬船の2隻体制により、対象資源と漁業経営の両方に見合ったより合理的な漁業生産システムの構築を目的として調査を行った。
                 

実施海域
北部太平洋海域
17年度の課題
1 生産製品目標6,480トン、販売目標金額610百万円
2 衛星情報の実践的活用と操業時の運搬船の活用による本システムの効率的運用を探求する。
3 液状氷製造装置を導入し、生鮮製品の高付加価値化技術の開発をする。

実施概要
1 北勝丸(286トン、網船)と第35福吉丸(270トン、運搬船)(乗組員2隻あわせて28名)を周年用
船した。
2 4月初旬から10月下旬の間はカツオ・マグロ類を対象として調査を行い、149回の操業調査で4,325トンを水揚げし406,948千円の販売金額を得た。また、11月初旬から翌年3月初旬の間はイワシ・サバ類を対象に63回の操業調査で2,308トンを水揚げし60,938千円の販売金額を得た。

成 果
1 製品生産と販売金額の目標達成率は、それぞれ前者102%、後者77%であった。
2 カツオ・マグロ類調査において、衛星から得られる表面水温分布図、表面塩分分布図、海面高度分布図等のカラー衛星画像を収集・整理して漁場の絞り込み等に活用するとともに、航走塩分水温計を用いて操業位置の表面水温及び表面塩分を測定し、漁獲量との関係を調査した。また、イワシ・サバ類調査において、全操業に占める運搬船による投網補助実施操業並びに入り会い操業実施に努めた結果、昨年度に比べて投網補助及び入り会い操業とも実施した割合が高くなった。
3 イワシ・サバ類漁期において液状氷の実験装置を導入して調査を行った。調査の過程で魚艙内での保蔵及び移送等に課題のあることが判明し、当該装置を利用することによる生鮮製品の付加価値向上技術の開発には至らなかった。

成果報告
17年度開発ニュース(No.339)平成18年7月
担当者
開発調査センター 浮魚類開発調査グループ 廣川 純夫・日野 厚生・植田 喜好  電話 045-227-2735
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10  新漁業生産システム構築実証化事業(沖合底びき網:2そうびき〈日本海西部海域〉)
        生産コストを削減するとともに、漁獲物の付加価値向上の実効性の実証化
 
背景と調査目的
日本海西部海域の沖合底びき網漁業(2そうびき)の存続を図るために、平成13年度より資源状態に配慮しながら、操業方法の合理化による生産コストの削減と漁獲物の付加価値向上並びに効率操業により漁業経営の安定に資することを目的として建造された第1、第2やまぐち丸(60トン)を導入し、その実効性の実証化調査を行った。
                 

実施海域
日本海西部海域
17年度の課題
1 生産製品目標450トン、販売目標金額227,840千円とする。
2 一部小型魚の逃避可能性を高めるため、選別式コットエンドの改良を行う。
3 エチゼンクラゲの大発生の際には、クラゲ混獲防止漁具の実証化調査を行う。
4 低価格魚の単価向上を図る。

実施概要
第1、2やまぐち丸を6~7月を除く10ヶ月間用船した。タイ類、カレイ類、イカ類、アナゴ類、アンコウ類を主体に425トンの製品を生産し、販売金額は201,983千円であった。

成果
1 製品生産と販売金額の目標達成率は、それぞれ前者94%、後者89%であった。
2 選別式コッドエンドは、前年度で魚とゴミ類とを分離することはほぼ可能となった。今年度は更に改良を行い、有用魚種であるマアナゴの逃避率を減少しつつ、製品サイズに達していないキダイの小型魚逃避率の向上を実現した。
3 大型クラゲの大発生を受け、島根県水産試験場、鹿児島大学等が共同開発したクラゲ混獲防止漁具の基本構造をやまぐち丸の2そうびき用の漁具に適用して当該漁具の実証化調査を行った。その結果、対象魚種であるカレイ類の漁獲を維持しつつ、入網したクラゲの約半分を網外に排出することが可能であることを実証した。この成果を受けて当業船2ヶ統が当該クラゲ混獲防止漁具を導入した。
4 体重1kg以上のマアナゴ大型個体の活魚出荷を12月から翌年3月まで実施した。平均販売単価は635円/kgと鮮魚における同型個体平均単価の約3倍であった。

成果報告
17年度開発ニュース(No.340)平成18年7月
担当者
開発調査センター 底魚・頭足類開発調査グループ 小河 道生・高山 剛・岩中 正博  電話 045-227-2729
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  11  新漁業生産システム構築実証化事業(沖合底びき網:かけまわし〈北海道日本海側〉)
          新機軸の漁船で生産コストを削減し、製品付加価値向上にも成果
背景と調査目的
北海道日本海海域での沖合底びき網漁業の主力はかけまわし漁法であるが、その漁業経営は人件費等のコスト高や魚価安等により厳しい状況にある。本漁業の存続を図るために、省人省力化と鮮度保持等をねらいとした新しい機器を装備した「新世丸」(160トン)を導入し、その実効性の実証化調査を行った。
                 

実施海域
北海道日本海海域
17年度の課題
1 生産製品目標4,400トン、販売目標金額202,400千円
2 選別式網の改良により小型カレイ類の逃避を図る。
3 陸上選別機によるホッケ及びスケトウダラの選別効果を確認する。
4 フィッシュポンプの陸上移設について検討する。

実施概要
新世丸(160トン)を4月~6月中旬及び9月~3月の9.5ヶ月間用船した。この間の漁場滞在日数は147日(月平均16日)で、924回の操業を行った。
製品生産数量はホッケ・スケトウダラ・カレイ類・マダラを主体に3,600トン、販売金額は211,509千円であった。

成果
1 製品生産と販売金額の目標達成率は、それぞれ前者82%、後者105%であった。
2 下部コッドエンドに入網した全長23.0?以下のソウハチ小型魚を脱出させるため、2寸角目網を導入して操業調査を行った。全長23.0?以下の個体の89%が脱出したが、製品化対象個体も36%脱出した。これに起因し、ソウハチ水揚金額は22%減額となった。今後、角目の目合サイズの再検討が必要である。
3 改良がなされた陸上選別機を用いて、ホッケ及びスケトウダラのサイズ選別を行った。サイズ規格間の重なりが多く、満足な選別効果は得られなかった。
4 関係者に対し、フィッシュポンプと陸上選別機を組み合わせた新しい水揚げシステムを構築することを軸とした市場の水揚機能改善を図るよう提言を行った。

成果報告
17年度開発ニュース(No.342)平成18年7月
担当者
開発調査センター 底魚・頭足類開発調査グループ 小河 道生・斎藤 哲・ ?橋 晃介   電話045‐227‐2729
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12  新漁業生産システム構築実証化事業(マルチトロール)
        北太平洋中部海域において着底と表中層トロールを組み合わせて全水深帯を操業の対象とするべく新たな

        試みに挑戦

背景と調査目的
遠洋底びき網漁業においては、対象資源の減少や外国200海里水域からの締め出しなどにより、これを取り巻く環境は厳しい状況にある。他方、公海上の表中層域には未利用資源が豊富にあると推定されており、これを遠洋底びき網漁業で利用することにより、水産物の安定供給や漁業経営の安定に寄与出来るのではないかと考えられている。
このため、北太平洋の公海域において着底資源を対象とした既存の底びき網操業とシマガツオ等の表中層資源を対象とした表中層トロール操業を組み合わせた操業システムの企業化の可能性を追求するとともに、当該手法による新しいトロール操業のシステムを構築することを目的とした調査を行った。
                 

実施海域
北太平洋中部海域(外国200海里水域内は除く)
実施概要
第58富丸(401トン)を6月~10月の5ヶ月間用船した。
製品生産数量は127.6トンであった。

成果
成果報告
17年度開発ニュース(No.333)平成18年2月
担当者
開発調査センター 底魚・頭足類開発調査グループ 小河 道生・平松 猛・山下 秀幸  電話 045-227-2729
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平成17年度の課題

1 生産製品目標を560トンとする。
2 表中層トロール漁法によるシマガツオ等の漁獲技術の向上を図る。
3 製品生産目標達成率は23%にとどまった。
4 曳網時の漁具の状態が設計どおりであったこと、操業時期を過去のシマガツオを対象とした流し網の盛漁期に合わせる改善を行ったこと、操業水域が過去のシマガツオを対象とした流し網における好漁域に相当する魚群密度を有する水域であったこと、の各点にかかわらず漁獲量が少なかったことから、当該漁法がシマガツオの分布生態に適合していなかったことが考えられ、シマガツオを対象とした企業化は困難であるとの結論を得た。
5 他方、シマガツオとともに主対象種としたアカイカについては集群性を有し、表中層トロール漁具により効率的に漁獲しうる可能性があり、アカイカを対象とした操業の可能性について検討を行う必要がある。