国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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平成15年度調査結果概要

事業一覧

<沖合漁場等総合開発調査事業>

●資源管理型沖合漁業推進総合調査 b.東シナ海ふぐ類等

●大水深沖合漁場造成開発事業

<海洋水産資源利用合理化開発事業>

●まぐろはえなわ

●まき網:熱帯インド洋海域

●まき網:熱帯太平洋中部海域

●いか釣(大型いか)

●かつお釣

<新漁業生産システム構築実証化事業>

●大中型まき網

●沖合底びき網(2そうびき)

●沖合底びき網(かけまわし)

●ハイブリッド・トローラー

 

事業ごとの調査概要

<沖合漁場等総合開発調査事業>

漁業種類及び調査期間 調 査 海 域 調査船 漁獲対象魚種

資源管理型沖合漁業推進総合調査 東シナ海ふぐ類等
(H15.12~16. 3)

 


東シナ海海域




 


大黒丸(19トン)
春日丸(19トン)
天龍丸(19.46トン)
日光丸(17トン)


漁獲量      10.5トン
製品量       7.6トン
トラフグ       1.7トン

調 査 の 目的・ね ら い ・実 施 概 要

<調査の目的>
  &nbspトラフグを対象としたはえ縄漁業において、小型魚の保護、選択式漁具の採用等に関する調査を実施し、 漁業者による自主的な資源管理型漁業を推進するために必要な各種情報を提供する。

<調査のねらい>
1. 漁法による漁獲特性調査
  &nbsp底はえ縄漁法と浮はえ縄漁法において、現在主流となっている釣針(底はえ縄1.5号、浮はえ縄1.25号)を用いて、トラフグの索餌期から産卵場への回遊期にそれぞれの漁法の本来の漁場で操業調査を行い両漁法の漁獲特性を比較する。
2. 釣針サイズによる漁獲特性調査
  &nbsp底はえ縄漁法と浮はえ縄漁法のそれぞれにおいて、3種類のサイズの釣針(両漁法でそれぞれ通常用いられているサイズの釣針(底はえ縄1.5号、浮はえ縄1.25号)とそれ以外のサイズの比較針(底はえ縄1.4号と1.25号、浮はえ縄1.2号と1.4号))を用いて操業調査を行い、釣針サイズによる選択的漁獲の可能性等について調査を実施する。

<実施概要>
  &nbsp12月1日に福岡県鐘崎にて浮はえ縄船2隻を、山口県萩にて底はえ縄船2隻を、それぞれ用船し、3月31日まで調査を実施した。
1. 操業・漁獲概要
(1)漁法による漁獲特性調査
  &nbsp底はえ縄では、操業日数68日で594尾(1,302kg)、浮はえ縄では操業日数56日で710尾(1,042kg)のトラフグを漁獲した。調査期間全体の操業日1日当たりの漁獲尾数は、底はえ縄では8.7尾、浮はえ縄では12.7尾であった。同期間の釣針1,000本当たりの漁獲尾数は底はえ縄では2.8尾、浮はえ縄では2.9尾であった。
(2)釣針サイズによる漁獲特性調査
  &nbsp底はえ縄では、操業日数65日でトラフグの漁獲は、それぞれ通常針1.5号で197尾(477kg)、比較針1.25号で157尾(310kg)、比較針1.4号で195尾(436kg)であった。他方、浮はえ縄のそれらは、操業日数56日でそれぞれ、通常針1.25号で237尾(352kg)、比較針1.2号で237尾(358kg)、比較針1.4号で182尾(268kg) であった。両漁法の各釣針サイズの調査期間全体の釣針1,000本当たりの漁獲尾数は、底はえ縄では、それぞれ通常針1.5号が2.9尾、比較針1.25号が2.3尾、比較針1.4号が2.9尾で、浮はえ縄のそれらは、それぞれ通常針1.25号が2.9尾、比較針1.2号が2.7尾、比較針1.4号が2.2尾であった。
2.漁法による漁獲特性調査
  &nbsp操業日1日当たりの漁獲尾数は、12月前半から1月前半及び3月前半は浮はえ縄が、2月前半から2月後半は底はえ縄が他方に比べ高かった。1月後半及び3月後半はほぼ同程度であった。
  &nbsp漁獲物は、各月とも底はえ縄の方が浮はえ縄に比し大型個体の漁獲割合が多く、平均全長及び平均体重とも大型であった。
  &nbsp釣針1,000本当たりの漁獲尾数は両漁法ともほぼ同程度であった。また、底はえ縄では大型の雌を、浮はえ縄では雄を多く漁獲する傾向がみられた。

3.釣針サイズによる漁獲特性調査
  &nbsp底はえ縄では、通常針1.5号と比較針1.4号の間には釣針1,000本当たりの漁獲尾数に大きな違いはみられなかったが、比較針1.25号は他の2種類の釣針よりも低かった。特に、全長55?以上もしくは体重3.8kg以上の割合が他の2種類の釣針に比し明らかに低かった。
  &nbsp浮はえ縄では、通常針1.25号と比較針1.2号の間には釣針1,000本当たりの漁獲尾数に大きな違いはみられなかった。他方、比較針1.4号は他の2種類の釣針よりも低かった。しかし、底はえ縄でみられた釣針サイズの違いによる体長・体重組成の違いは浮はえ縄ではみられず、3種類の釣針ともにほぼ同じような体長・体重組成となった。
 
漁業種類及び調査期間 調 査 海 域 調査船 漁獲対象魚種

大水深沖合漁場造成開発事業
   (H15. 4~16. 3)



 

北太平洋西部
(日本沖合)海域


 

第18太幸丸
(69.69トン)



 

漁獲量         313.0トン
製品量         311.9トン
  &nbspカツオ        188.1トン
  &nbspキハダ         58.7トン
  &nbspメバチ         58.7トン
  &nbspその他           7.4トン

調査の目的・ねらい・実施概要

<調査の目的>
  &nbsp我が国周辺水域の表層漁業の生産力向上と近海かつお・まぐろ漁業の経営安定に資するため、昭和62年度から平成11年度にかけて、浮魚礁を用いた漁場造成技術の開発と当該浮魚礁漁場の有効な利用方策の確立を目的として、主として南西諸島周辺水域の水深1,000~2,000mの水域に中層型浮魚礁を設置し、調査を行った。現在、当該浮魚礁群は、漁場として近海かつお一本釣り漁船等に有効に活用されている。
  &nbsp上記成果を踏まえて、これまで漁場として有効に利用されていなかった前述の浮魚礁漁場周辺の水深2,000~3,000mの大水深域において、かつお・まぐろ類を対象とした中層型浮魚礁漁場を造成し漁場の拡大を図り、我が国排他的経済水域の一層の高度利用と近海かつお・まぐろ漁業の経営安定に資することを目的とする。


<調査のねらい>
1. かつお釣り・曳縄用の中層型浮魚礁における調査を行い、漁場造成効果の確認を行う。なお、増産効果目標は、平成14年度設置浮魚礁群(3基)については既存浮魚礁漁場(平成9~11年設置9基)における操業1回当たり平均漁獲量相当とし、平成15年度設置魚礁群(3基)については漁獲状況を把握する。
2. まぐろはえ縄・旗流し用の中層型浮魚礁(平成14年度2基、平成15年度2基)における魚類蝟集の確認を行う。
3. 南西諸島周辺水域における中層型浮魚礁の経済性の評価を検討するために標本船調査を行う。


<実施概要>
1.操業・漁獲・生産概要
   &nbsp平成15年度は39次の航海を実施し、1航海当たりの操業日数は2~5日で、全操業日数は143日であった。全操業回数は1172回でカツオ、キハダ、メバチを主体に313トンを漁獲した。その内、製品となったのは312トンであった。

2.かつお釣・曳縄用中層型浮魚礁群の漁場造成効果
   &nbsp操業1回当たり漁獲量は、既存浮魚礁漁場で266kg/回、平成14年度に大水深域に設置した中層型浮魚礁群で318kg/回であり、平成14年度に設置した浮魚礁群においては既存浮魚礁漁場以上の漁獲があった。魚種組成については、既存浮魚礁漁場においてはカツオ60%、キハダ20%、メバチ20%であったのに対し、平成14年度に設置した浮魚礁群においてはカツオ75%、キハダ15%、メバチ9%、その他1%であった。当該浮魚礁群における魚種組成は既存浮魚礁漁場に比べ、カツオが多くキハダ、メバチが少ない傾向であった。また、既存浮魚礁漁場と平成14年度に設置した浮魚礁群におけるこれら3魚種の体長組成は概ね同様であった。
   &nbsp平成15年6・7月に設置した3基の浮魚礁においては9月下旬に初漁がみられた。9月以降3月末までの期間の操業1回当たり漁獲量は、既存浮魚礁漁場で207kg/回、新設浮魚礁で287kg/回であり、当該新設浮魚礁においては既存浮魚礁漁場以上の漁獲が得られた。魚種組成については、既存浮魚礁漁場における9月以降の比率がカツオ56%、キハダ39%、メバチ4%その他1%であったのに対し、新設浮魚礁ではカツオ70%、キハダ22%、メバチ8%であり、新設浮魚礁における魚種組成は既存浮魚礁漁場に比べてカツオが多くキハダが少ない傾向であった。また、既存浮魚礁漁場と新設浮魚礁におけるこれら3魚種の体長組成は概ね同様であった。

3.まぐろ延縄・旗流し用中層型浮魚礁の魚類蝟集状況
   &nbsp魚類蝟集状況を確認するため、旗流し漁具を使用し、延べ漁具数515基の旗流し操業を行った。その結果、ビンナガ1尾(17.3?)、ミズウオ1尾(4.2?)、ホシエイ2尾(5.2?)を漁獲した。

4.南西諸島周辺における中層型浮魚礁漁場の経済性の評価
   &nbsp主として南西諸島周辺水域から五島列島水域で操業を行う近海かつお一本釣漁船と曳き縄漁船の中層型浮魚礁への漁獲依存度と漁業経営との関係を調べるため、これらの水域で操業している近海かつお一本釣漁船12隻(宮崎県かつお一本釣10隻、鹿児島県奄美かつお一本釣2隻)と曳縄漁船15隻(沖縄県曳縄5隻、鹿児島県奄美曳縄5隻、宮崎県曳縄5隻)から情報を収集した。    &nbsp南西諸島周辺水域において操業を行う近海かつお一本釣漁船は船により漁獲依存度にばらつきはあるものの中層型浮漁礁を重要な漁場として利用している。特に鹿児島県籍奄美かつお一本釣り船においては中層型浮魚礁への漁獲依存度が72%~98%と高く、その事業貢献度は高いと判断される。    &nbsp鹿児島県籍奄美曳縄船及び沖縄県籍曳縄船においては、中層型浮魚礁に対する漁獲依存度が80%を越す船が大半を占め漁場としての重要性並びに、事業貢献度は高いと判断される。


 

<海洋水産資源利用合理化開発事業>
漁業種類及び調査期間 調 査 海 域 調査船 漁獲対象魚種

まぐろはえなわ
(H15. 4~16. 3)



 

太平洋中・東部海域




 

開発丸
(489トン)



 

漁獲量   180.8トン
製品量   145.3トン
 メバチ  &nbsp102.2トン
 キハダ  &nbsp28.8トン
 ビンナガ &nbsp11.8トン
 その他  &nbsp38.0トン

調査の目的・ねらい・実施概要

<調査の目的>
 メバチを主対象として、太平洋中・東部海域を広範囲に調査し、既存漁場の鉛直的再開発の可能性と縁辺的拡大を探求するとともに、操業の合理化と生産性の向上を追求する。

<調査のねらい>
1. 平成15年度の漁業生産目標としては、生産製品数量205トンとする。
2. メバチ既存漁場の縁辺的拡大のためタヒチ南東水域での操業調査を行い、漁場形成と企業化の可能性について調査する。なお、企業的評価は当業船の採算点である1操業日(釣針数3,000本)あたり60万円(14年度)前後を目安に判定する。
3. メバチの鉛直的日周行動に合わせた効果的な漁具の開発及び操業方法を検討するため、昼夜比較操業調査を行う。
4. 通常の冷凍餌と人工餌の釣獲率を比較し、人工餌導入の可能性について調査する。
5. 付加価値付けを目的とした新凍結装置の習熟を図り生産体制を構築する。

<実施概要>
1.操業・漁獲・生産概要
  &nbsp第1次航海(6月28日~9月29日)はジョンストン沖水域及びキリバス北水域において、第2次航海(10月5日~12月2日)は北緯水域において、それぞれ昼夜比較操業を含む操業調査を実施した。第3次航海(12月6日~2月6日)はタヒチ東方水域、タヒチ南東水域及び洋心部水域において、第4次航海(2月12日~4月25日)はジョンストン沖水域及びマーシャル東水域において、それぞれ人工餌操業を含む操業調査を実施した。漁場滞在日数は合計208日、操業回数は合計179回、総漁獲量は180.8トンであった。
  &nbsp主要魚種別漁獲量は、メバチ102.2トン(総漁獲量に占める割合:57%)、キハダ28.8トン(16%)、メカジキ6.3トン(3%)、マカジキ4.3トン(2%)、ビンナガ11.8トン(7%)、クロカジキ17.0トン(9%)であった。
  &nbsp平成15年度(4~3月)の漁業生産目標205トンに対する生産製品数量は174.1トンであった。

2.既存漁場の縁辺的拡大に関する調査
  &nbsp12月中旬から12月下旬にタヒチ南東水域において操業調査を9回実施した。当該水域における製品量は合計12.2トン(うちメバチ7%、キハダ5%、メカジキ10%、マカジキ9%、ビンナガ43%、クロカジキ17%、その他8%)であった。当該水域の釣針1,000本当たり製品量(CPUE)は530.4kgで他水域に比し最も高かった。これを魚種別に見ると、ビンナガ、メカジキ、クロカジキ、マカジキで高く、メバチのそれは低かった。
  &nbsp企業的評価のため釣針数3,000本とした当該時期・水域の1操業日当たりの生産金額を試算したところ、635千円であった。
3.昼夜操業調査
  &nbsp8月下旬のジョンストン沖水域及び10月下旬から11月下旬の北緯水域において実施した。昼間の深縄操業(朝まずめ操業+昼操業)と夜間の浅縄操業(夕まずめ操業+夜操業)におけるメバチの昼夜別釣針1,000本当たりの釣獲尾数(CPUE)をみると、ジョンストン沖では昼1.8尾、夜0.6尾で昼のCPUEが高く、北緯水域では昼3.9尾、夜17.6尾で夜のCPUEが高かった。
  &nbspメバチの操業別CPUEは、ジョンストン沖では朝まづめ操業が2.2尾で最も高く、次いで昼操業1.3尾、夕まずめ操業0.9尾、夜操業0.2尾の順に高かった。北緯水域では夕まずめ操業が19.1尾で最も高く、次いで夜操業16.1尾、朝まずめ操業5.4尾、昼操業2.5尾の順で高かった。北緯水域における操業では、夜操業、特にまずめ時間帯を含めた夜操業においてメバチを効率的に漁獲できる場合があることが示唆された。
4.人工餌に関する調査
  &nbsp人工餌にイカゴロを用い、12月下旬から1月下旬の間にタヒチ東方水域で26回、3月上旬から3月下旬の間にジョンストン沖水域において20回、合計46回行った。その結果、餌範囲別釣針1,000本当たりの釣獲尾数(CPUE)は、タヒチ東方水域では通常餌範囲6.5尾(うちメバチ3.1尾)、人工餌範囲6.3尾(同3.5尾)、ジョンストン沖水域では通常餌範囲12.5尾(メバチ9.5尾)、人工餌範囲13.8尾(同10.9尾)であった。このことから、本調査で使用したイカゴロを用いた人工餌は、通常餌の代替となり得ることが示唆された。
5.新凍結製造システム
  &nbsp衝突噴流方式凍結装置によるロイン凍結製品及び管棚凍結装置によるフィーレ凍結製品に関する基礎データを収集するため、GG(エラ腹抜き)換算でメバチ9.6トン、キハダ0.7トンを生産した。 またロイン加工のうち、一部の製品については自動裁割機による処理をおこなった。
 
漁業種類及び調査期間 調査海域 調査船 漁獲対象魚種

まき網
(H15. 4~16. 3)

 

熱帯インド洋海域



 

 日本丸
 (760トン)


 

漁獲量            3,935.5トン
製品量            3,935.5トン
 カツオ           2,197.4トン
 キハダ             843.5トン
 その他             894.6トン

調査の目的・ねらい・実施概要

<調査の目的>
熱帯太平洋中部海域においてカツオ・マグロ類の分布、移動、ならびに海洋環境等の調査を行い、まき網漁場の形成とその要因について把握するとともに、既存漁場の縁辺的拡大を図り、また、若齢マグロ類の漁獲を最少化する手法に関して調査する。

<調査のねらい>
1. 平成15年度の漁業生産目標としては、生産製品数量2,801トンとする。
2. 漁場の有効利用と効率的な操業パターンを探求するため、衛星情報等の活用を図るとともに、経済性から見た外地水揚げ及び中層浮魚礁導入の可能性について調査する。
3. 流れ物付き操業における若齢まぐろ類の漁獲を最少化する手法について調査する。
4. インド洋カツオの節向き商材としての活用について調査する。
5. 海外まき網漁船の将来型船について検討するとともに、省人省力化に関する情報を収集する。
6. 熱帯インド洋漁場の縁辺的拡大のため、西部公海域及びチャゴス水域において操業調査を行い、漁場形成と企業化の可能性について調査する。

<実施概要>
1.操業・漁獲・生産概要
  &nbsp第1~5次航海において人工流木を主体に合計160回の操業を行いカツオ主体にキハダ、メバチを合計3,935.5トン漁獲した。第1次航海(4月13日~5月20日)は、東部公海域において人工流木を主体に、23回の操業で、465.8トン漁獲した。第2次航海(8月2日~9月25日)は、東部公海域においては人工流木、西部公海域においては自然の流れ物を主体に、35回の操業で、804.4トン漁獲した。第3次航海(10月8日~11月23日)は、東部公海域及びチャゴス水域において人工流木を主体に、35回の操業で、801.8トン漁獲した。第4次航海(12月4日~1月14日)は、東部公海域において人工流木を主体に、34回の操業で、968.0トン漁獲した。第5次航海(1月29日~3月18日)は、東部公海域において人工流木を主体に、33回の操業で、895.5トン漁獲した。

2.衛星情報の活用
  &nbsp操業の主体となる人工流木の放流に際しては、衛星情報による海面高度図、地衡流図を活用し、放流時に付設したアルゴス発信器により人工流木の漂移を確認するとともに衛星情報との整合性について比較・検証を行った。また、毎日配信される気象予報図の活用により効率的な運航が出来、操業回数の増加に繋がった。

3.外地における販路拡大
  &nbsp外地売りの販路拡大のため、昨年に引き続き、第4次航海の漁獲物(製品数量968トン)をインドネシア共和国バニュワンギ港において水揚げし販売した。また、中層浮魚礁については、東部公海域内の4水域を選定して測深を行った。

4.若齢まぐろ類の漁獲を最少化する方策
  &nbsp6種類の人工流木を用いて蝟集状況等の調査を行ったが、放流時期や水域等の比較条件を整えることが難しく充分な検証は行えなかった。また、マグロ類の漁獲組成比率及び漁獲した魚種の体長組成に関して大きな差異は認められなかった。

5.カツオの節向け商材としての調査
  &nbsp平成14年度第5次航海及び平成15年度第1次航海で漁獲したカツオ130尾(1水域から10尾、計13水域)について、静岡県水産試験場と共同で時期別、水域別の粗脂肪含有量の測定を行った。その結果、当該海域で漁獲したカツオは低脂肪で節向きに適していることが示唆された。

6.将来船型及び省人省力化の検討
  &nbspまき網漁業先進国であるスペイン国の同漁業に関する情報収集のため、業界関係者と共に同国ヴィゴ市及びビルバオ市の造船所等の現地調査を行った。

7.漁場の縁辺的拡大
  &nbsp主漁場である東部公海域では漁場滞在1日あたりの漁獲量が17.0トン、操業1回当たりの漁獲量が23.9トンであるのに対し、西部公海域のそれらは7.8トン、17.9トン、チャゴス200海里水域内のそれらは15.0トン、30.0トンであった。
 
漁業種類及び調査期間 調査海域 調査船 漁獲対象魚種

まき網
(H15. 4~16. 3)



 

熱帯太平洋中部海域




 

第18太神丸
(349トン)



 

漁獲量            3,580.1トン
製品量            3,580.1トン
 カツオ          2,673.9トン
 キハダ             738.7トン
 その他             167.5トン

調査の目的・ねらい・実施概要
<調査の目的>
熱帯太平洋中部海域においてカツオ・マグロ類の分布、移動、ならびに海洋環境等の調査を行い、まき網漁場の形成とその要因について把握するとともに、既存漁場の縁辺的拡大を図り、また、若齢マグロ類の漁獲を最少化する手法に関して調査する。

<調査のねらい>
1. 主として160°E以東の熱帯太平洋中部海域において、カツオ・マグロ類を対象としたまき網漁法による漁場形成の確認とその要因の把握に努める。平成15年度の漁業生産目標としては、生産製品数量4,431トンとする。
2. 既存漁場の縁辺的拡大のため、北緯5°以北の水域、西経水域及び南緯5°以南の水域を調査し、既存漁場とこれらの水域における周年操業のパターン化を探求する。
3. 流れ物付き操業における若齢マグロ類の漁獲を最少化する手法について調査する。
4. 衛星情報等の有効利用による漁場探索範囲の絞り込み、漂移を予測した人工流木放流位置決定等効率的な活用方法を探求する。
5. カツオの脂肪含有量について、再現性のある漁場開発のため、水域別、群れの性状別及び時期別変化について調査する。


<実施概要> 1.操業・漁獲・生産概要
  &nbsp160°E以東の熱帯太平洋海域において、第1次航海から第3次航海は北緯側の水域を主体に、第4次航海から第6次航海は南緯側の水域を主体に、それぞれ操業調査を行った。漁場滞在日数196日、操業回数108回で3,580.1トンを漁獲し、漁場滞在1日当たりの漁獲量は18.3トン、操業1回当たりの漁獲量は33.1トンであった。

2.漁場の縁辺的確大
  &nbsp好漁獲を得た時期と水域は、7月中旬から下旬において流れ物付き群を対象に7回の操業で450トンを漁獲した西経北緯公海水域、10月下旬から11月上旬及び12月下旬から1月上旬において流れ物付き群を対象に10回の操業で320トンを漁獲したツバル200海里水域内であった。また、3月中旬に調査した南緯8度以南のソロモン200海里水域内では、鳥付き素群も多く目視され、発見した流れ物付き群(自然流木)1回の操業で130トンを漁獲した。

3.若齢マグロ類の漁獲を最小化する手法
  &nbsp計量魚探(カイジョー製KFC5000システム)を用いて魚群の魚種組成及び体長組成を予め把握することにより選択漁獲を行うことが可能か調査を行った。

4.衛星情報の活用
  &nbsp衛星情報は、海面高度図及び地衡流図による漂移予測に基づいた人工流木の放流位置決定に利用した。また、雲域下の水温が補完された表面水温データ及び海上風の準リアルタイムデータを入手し、漁場探索範囲の絞り込み等効率的な操業に活用した。

5.カツオの脂肪含有量調査
  &nbsp操業調査で漁獲したカツオ200尾を試料として用い、時期別、水域別、魚群の性状別による脂肪含有量の差異について、静岡県水産試験場と共同で調査を行っている。
 
漁業種類及び調査期間 調査海域 調査船 漁獲対象魚種

いか釣(大型いか)
(H15. 4~16. 3)



 

北太平洋中・東部海域
南太平洋西部海域

 

第三新興丸
(478.1トン:H15.4~5)

第三十一寶來丸
(276トン:H15.5~11)

第八白嶺丸
(276トン:H15.11~H16.3)


 

漁獲量   334.5トン
製品量   312.3トン
アカイカ    42.2トン
ニュージーランドスルメイカ 270.1トン

調査の目的・ねらい・実施概要
<調査の目的><BR>   &nbsp北太平洋中・東部海域においてアカイカ漁場の縁辺的拡大を図るとともに、南太平洋西部海域においてニュージーランドスルメイカ漁場の再開発を図ることにより、両水域を組み合わせた効率的な周年操業の可能性を追求する。

<調査のねらい>
1. 平成15年度の漁業生産目標としては、生産製品数量733トンとする。
2. 北太平洋中・東部海域におけるアカイカを対象として、海底地形を指標とし操業調査を行い、漁場の縁辺的拡大を図る。調査にあたっては海底地形と漁場との関連性について、海面高度や潮流、水温などの海洋情報を組み合わせて検討を行う。なお、当該縁辺的漁場の企業的評価は操業1日当たり漁獲採算金額837千円/日を基準に判定する。
3. アカイカの脱落防止に関する手法について検討する。
4. 船上におけるアカイカの処理加工技術の向上に努める。
5. ニュージーランド南島周辺水域に分布するニュージーランドスルメイカ類を対象とし、本種の分布状況を把握する。
6. ニュージーランド周辺水域の海洋観測によりニュージーランドスルメイカ類の分布と海洋環境との関連性を把握する。
7. ニュージーランドスルメイカ類の生物調査により外套長、生殖腺熟度、胃内容物等生物学的情報を収集する。
8. ニュージーランド周辺水域の操業調査により企業化の可能性を追求する。

<実施概要>
1.  &nbsp操業・漁獲・生産概要平成14年度に引き続き、平成15年4月29日まで第三新興丸(478.1トン)により、南太平洋西部海域におけるニュージーランドスルメイカの調査を実施した。
  &nbsp5月23日より第三十一寶來丸(平成15年11月25日付けで第八白嶺丸に船名変更)(276トン)を使用して、5月から11月は北太平洋中・東部海域においてアカイカの調査、平成16年1月から3月は南太平洋西部海域においてニュージーランドスルメイカの調査を実施した。
  &nbsp北太平洋中・東部海域においては、5月31日より調査を開始し11月18日までの間に3航海を実施した。操業日数113日間で469回の操業調査を行い、アカイカを59.2トン漁獲し、42.2トンの製品を生産した。
  &nbsp南太平洋西部海域においては、1月16日より調査を開始し、4月30日までの間に3航海を実施した。操業日数は101日間で353回の操業調査を行い、ニュージーランドスルメイカを256.6トン漁獲し、253.4トンの製品を生産した。なお、当該水域のニュージーランドスルメイカを対象とした調査は、ニュージーランド国内機関(Squid Fishery Management Company Limited)と共同で実施した。
  &nbsp平成15年度(4~3月)の漁業生産目標733トンに対する生産製品数量は第三新興丸による調査分も含め312.3トンであった。

2.  &nbsp北太平洋中・東部海域におけるアカイカ漁場の縁辺的拡大アカイカの漁獲は全般的に低調であったが、その中で比較的好漁であったのは、海底地形的に特徴のある天皇海山もしくは天皇海溝部付近であった。一方、西経海域では過去に好漁が得られた海山付近の水域で探索を試みたが、暖水が弱く、好漁域は確認されなかった。
  &nbsp北太平洋中・東部海域における1操業日当たり平均生産金額は126千円で、比較的好漁であった日でも269千円程度であり、大型いか釣り漁船の採算分岐点を大きく下回った。

3.  &nbspアカイカ脱落防止のための新型イカ釣り機の導入調査 漁獲のあった6月、7月、10月、11月の脱落率はそれぞれ30%、35%、39%、42%と従来機を使用した昨年度(平均43%)に比べて改善されたが、効果が安定せず、改善の余地があることが示唆された。なお、脱落現象は水中脱落が78~94%と最も高く、脱落率を軽減するには水中脱落を減少させることが必要である。

4.  &nbsp船上におけるアカイカの処理加工機の試験エラ残及び耳残などの発生は、活きいかを含めて最終的には2%程度となった。単位時間当たりの処理能力は最大で600尾と推定され、加工機としては実用段階に達したものと判断された。

5.  &nbspニュージーランドスルメイカの分布状況スチュワート島周辺水域において、局所的、短期的ではあるものの、全期間を通じて好漁域の形成が確認された。また、ダニーデン沖では当初は好漁場が形成されたものの、表面水温の低下した第2、3次航海の漁獲状況は低調であった。

6.  &nbspニュージーランドスルメイカの分布と海洋環境との関連性好漁があった時の表面水温は水域により異なり、1月~2月中旬ではダニーデン沖14.5~15℃、スチュワート島12.5~13℃、オークランド島10~10.5℃、ベリアンバンク15℃付近であった。持続的に好漁であったスチュワート島周辺水域においては、調査期間を通じて表面水温の変化は少なかったが、他の水域では2月中旬以降、表面水温が下降する傾向にあった。

7.  &nbspニュージーランドスルメイカの生物調査全期間を通じて操業調査を行ったスチュワート島周辺水域では月を経るに従い大型化する傾向にあった。いずれの水域でも胃内容物中で最も出現頻度が高かったのは甲殻類であった。

8.  &nbspニュージーランド周辺水域での企業化の可能性1操業日当たり生産量は、第1次航海で3.5トン、第2次航海で2.4トン、第3次航海で1.6トン、全航海を通じて2.5トンであった。他方、企業的操業を可能とする1操業日当たりの生産量は当業船の平均的な採算分岐金額と現在のニュージーランドスルメイカの平均単価220円/kgから推定すると3.8トンである。第1次航海ではこれに匹敵する生産量が得られたが、全期間を通じてはこれを下回っていた。
  &nbsp今後は、継続して調査を行い、漁場形成に関する知見を蓄積し、当該知見に基づき適切な操業を行えば、ニュージーランド水域における企業的操業の可能性は高いと判断される。
 
漁業種類及び調査期間 調査海域 調査船 漁獲対象魚種

かつお釣
(H15. 4~16. 3)
 

太平洋中・西部海域

 

第18日之出丸
(359トン)
 

漁獲量            991.3トン
製品量            991.3トン
  &nbspカツオ          706.9トン
  &nbspビンナガ       272.5トン
  &nbspその他            11.9トン

調査の目的・ねらい・実施概要

<調査の目的>
  &nbsp太平洋中・西部海域におけるトロカツオ及びトロビンナガを対象とした漁場の開発及び既存漁場の縁辺的拡大を図り、これらを対象とした周年操業の可能性を探求するとともに、当該漁業の合理的な操業パターンの確立を図る。

<調査のねらい>
1. 平成15年度の漁業生産目標としては、生産製品数量871トンとする。
2. 4月から10月にかけては日本近海海区から天皇海山・西経海区を、また、12月以降はタスマン海公海域並びにニュージーランド東方公海域を重点調査水域として漁場形成状況を調査し、トロカツオ・トロビンナガを対象とした当該水域における周年操業の可能性を追求する。なお、企業的評価は450トン以上の当業船(釣り手人数は本船17人に対し、27.9人)の採算点となる1漁場滞在日当たりの生産金額1,973千円(14年度:日鰹連、総合対策室調べ)を目安に判定する。
3. 周年を通し、衛星情報等の利用により、漁場探索範囲の絞り込み等効率的な探索方法を探求する。
4. イワシ類に替わる活餌として、サバヒー導入の可能性について調査する。
5. カツオの水域別、時期別脂肪含有率を調査し、再現性のあるトロカツオ漁場開発のための分布図を作成する。
 
<実施概要>
1.操業・漁獲・生産概要
  &nbsp5月上旬から11月上旬の間は日本近海海区(165゜E以西)から天皇海山・西経海区にかけて4航海の操業調査を行い、この間1,271回操業し、カツオ354.5トン、ビンナガ257.1トン、その他11.8トン、計623.4トンを漁獲した。1漁場滞在日当たりの漁獲量は4.9トン、1操業日当たりの漁獲量は5.5トンであった。
  &nbsp12月上旬から平成16年4月中旬の間はタスマン海公海域及びニュージーランド東方公海域で2航海の操業調査を行い、この間251回操業し、カツオ352.4トン、ビンナガ15.4トン計367.9トンを漁獲した。1漁場滞在日当たり及び1操業日当たりの漁獲量とも、10.2トンであった。
  &nbsp平成15年度(4~3月)の漁業生産目標871トンに対する生産製品数量は943.5トンであった。

2.漁場形成状況
  &nbsp7月中旬から下旬にかけては天皇海山漁場、9月上旬から下旬にかけては天皇海山沖合漁場、及び10月中旬から下旬にかけては日本東方東側漁場において、1漁場滞在日当たりの生産金額が当業船の採算点を上回り、それぞれ企業的操業に耐えうる漁場形成を確認した。
  &nbsp12月以降のタスマン海・ニュージーランド東方海域では、12月下旬から1月下旬にかけてタスマン海公海漁場のガスコイニ海山付近において企業的操業に耐えうる漁場形成を確認した。

3.衛星情報の活用
  &nbsp衛星情報及び海象ディスプレイから表面水温図、海面高度図及び地衡流図を入手し、本船及び当業船の操業位置等から漁場形成の傾向を把握するとともに、探索範囲の絞り込み等に活用した。

4.サバヒーの導入の可能性
  &nbspイワシ類に替わる活餌としてのサバヒー導入の可能性に関する調査では、サバヒーの陸路搬入試験(蓄養場~船)と洋上蓄養・投餌試験を実施した。その結果、船内で蓄養中の生残率が高いこと及び魚群に対する蝟集効果がある程度認められ一本釣用の活餌として利用できる可能性は高いことが示唆された。

5.トロカツオ分布図
  &nbsp日本東方沖合において漁獲したカツオ240尾を試料として用い、トロカツオの分布について検討した。トロカツオの出現率が高かった時期と水域は、5月下旬の天皇海山沖合漁場(32゜N、173゜E)及び10月中旬から11月上旬にかけて操業を行った東側漁場(39~40゜N、153~162゜E)であった。  


 

<新漁業生産システム構築実証化事業>
漁業種類及び調査期間 調査海域 調査船 漁獲対象魚種

大中型まき網
(H15. 4~16. 3)




 

北部太平洋海域





 

北勝丸
(286トン)

第35福吉丸
(270トン)

〔1ヶ統2隻〕

 

漁獲量            5,703.7トン
製品量            5,703.7トン
  &nbspカツオ           2,937.8トン
  &nbspマグロ類          200.2トン
  &nbspサバ類               49.7トン
  &nbspイワシ類       2,496.1トン
  &nbspその他               19.9トン

調査の目的・ねらい・実施概要

<調査の目的>
  &nbsp大中型まき網漁業において、漁獲から市場上場に至るまでの実態に応じた最新の漁撈技術、機器を応用した省人・省力化及び付加価値向上の可能性を追求し、対象資源と漁業経営の両方に見合ったより合理的な漁業生産システムの具現化を図る。

<調査のねらい>
1. 平成15年度の漁業生産目標として、平成12~14年度実績平均(製品数量5,700トン、販売金額536百万円)に比べ向上させる。
2. 探索・操業面において衛星情報を実践的に活用するとともに、運搬船を魚群追尾、投網補助、先行探索等に活用するなど本システムの効率的運用を探求する。
3. イワシ・サバ類操業時において、平成丸型魚捕部への改造を実施することにより操業の合理化の可能性について検討する。
4. 北部太平洋海区における2隻体制からなる操業システムを最も有効に機能させる船型について検討する。


<実施概要>
1.操業・漁獲・生産概要
  &nbsp平成15年5月5日から11月20日までの期間は伊豆諸島周辺から三陸東方沖にかけての広範囲にわたる水域で、カツオ・マグロ類を対象として調査を行った。この間136回の操業でカツオを主体に3,141トンを水揚げし、408,699千円の販売金額を得た。
  &nbsp平成15年4月1日から4月27日までの期間と平成15年11月21日から平成16年3月31日(平成16年3月1日から3月31日までの31日間はドック期間)までの期間は、三陸南部から常磐及び犬吠崎にかけての沿岸水域で、イワシ・サバ類を対象として調査を行った。この間70回の操業でカタクチイワシを主体に2,562トンを水揚げし、48,030千円の販売金額を得た。
  &nbsp本年度の総販売数量は5,704トン、総販売金額は456,729千円であった。

2.衛星情報の活用
  &nbsp主として、カツオ・マグロ類調査期間において表面水温、海面高度分布、塩分濃度分布等の衛星画像情報データを収集・整理し漁場の絞り込みに活用した。なお、海面高度図で読みとられる暖水渦や冷水渦及びその周辺部をXBT観測し海面高度偏差と暖水層の深さとの相関性について、漁業情報サービスセンターと共同で調査した。

3.イワシ・サバ類操業時における操業の合理化
  &nbspカタクチイワシ網の魚捕部に導入した三角網の効果については、習熟が進んだこともありエチゼンクラゲの大量混獲があったにも係わらず、導入前に比べ、網起こし作業及び漁獲物取込作業の作業所要時間が短縮された。

4.船型等の検討
  &nbsp2隻体制による操業システムを最も効率的に運用させるための漁船能力、漁撈機械・機器類の能力とその配置等について検討した。
 
漁業種類及び調査期間 調査海域 調査船 漁獲対象魚種

沖合底びき網(2そうびき)
 (H15. 4~16. 3)

 禁漁期間(6.1~8.15) を除く

 

日本海西部海域





 

第1やまぐち丸
(60トン)

第2やまぐち丸
(60トン)


 

漁獲量             662.0トン
製品量             454.0トン
  &nbspタイ類              63.4トン
  &nbspカレイ類          88.8トン
  &nbspイカ類             66.0トン
  &nbspアナゴ類         30.5トン
  &nbspその他底魚  205.3トン

調査の目的・ねらい・実施概要

<調査の目的>
  &nbsp日本海西部海域において調査を行い、2そうびき漁業を対象として、新たな漁業生産システムによる生産コストの削減、漁獲物の付加価値向上、漁労作業の省力化、選別式漁具の開発等を目的とした調査を実施する。

<調査のねらい>
1. 季節、海域、漁場、対象魚種及び魚価等を勘案した効率的な操業形態を追求する。平成15年度の漁業生産目標としては、生産製品数量402トンとする。また、当該システムの想定採算分岐金額に対する漁獲金額の割合を向上させるため、平成15年度の販売目標金額を193,496千円とする。
2. 漁獲物の処理作業に関しては、船上作業の簡素化を図るため主要魚種のバラ出荷を実施し鮮度、魚価等の比較を行う。
3. 魚とゴミ類の分離及び小型魚の逃避可能な選別式コッドエンドを開発する。
4. 低価格魚の単価向上を図る。
5. ハンドリフト等の導入を検討し、水揚作業の省力化を図る。

<実施概要>
1.操業・漁獲・生産概要
  &nbsp平成15年4月1日から5月31日まで及び8月1日から平成16年3月31日までの計10か月間用船し、日本海西部海域において操業調査を行った。実操業日数223日で1,386回の操業を行い、タイ類、カレイ類、イカ類、アナゴ類、アンコウ等を主体に662トンを漁獲し製品454トンを生産した。
  &nbsp効率的な操業形態を追求するため、本年度は操業稼働率の向上を図ると共に季節による漁場選定を行った。その結果、操業回数は昨年度より42回多い1,386回で、漁獲量、製品量は、昨年度に比べそれぞれ22%、15%の増加であったが、漁獲物の販売金額は189,839千円で昨年度に比べ2%の減少であった。
  &nbspなお、昨年同様8~12月の期間はエチゼンクラゲの異常発生により、漁場が限定される等の操業に支障をきたす事態が頻繁に生じた。

2.バラ出荷に関しては、4~5月にムシガレイ及びキダイの小型魚について試験した。鮮度は特に問題なかったが、見映え等の問題があり1箱当たり平均460~800円の安値となった。

3.選別式コッドエンドに関しては、前年度調査において使用した二段式コッドエンドはゴミ類の分離・小型魚の逃避に関しては良好であったものの主力製品のひとつであるアナゴの漁獲が逃避により通常網の約20%に減少した点が問題となった。このため、改良を施して調査を行った結果、アナゴの漁獲は通常網並みに確保することができたが、小型魚の逃避効果が減少したため、今後さらに改良を重ねる必要がある。

4.低価格魚の単価向上に関しては、前年度に引き続き、2月3日の節分に合わせたカナガシラの長崎販売を行ったが、地元船の上場と重なり供給過多となったこと等により昨年実績4,388円/箱の半額以下にとどまった。また、ウチワエビ活魚の定期的な東京築地市場への出荷を継続し、製品の信用度を得ると共に販路拡大を図った。

5.水揚作業の省力化については、魚倉から甲板への製品揚げの省力化のためフィッシュリフターを導入した結果、省力化並びに水揚時間の短縮が図られると共に、水揚作業時の製品の壊れが皆無となった。

6.2年連続して大量発生したエチゼンクラゲの混獲防止対策が必要となり、網口の網丈を低くする・コッドエンドに安全弁を設ける等の対策を行ったほか、スリット方式の混獲防止装置の開発を行った。網丈を低くする等の対策については、調査船で有効性が確認されたことから当業船でも同種の対策を取るなどの波及効果があった。混獲防止装置については、エチゼンクラゲの混獲を1月7日~1月10日に減少させたが漁獲量が半減するという問題点が残され、更なる改良が必要である。
 
漁業種類及び調査期間 調査海域 調査船 漁獲対象魚種

沖合底びき網(かけまわし)
(H15. 4~16. 3)

禁漁期(6.16~9.15)を除く

 

北海道日本海海域





 

新世丸
(160トン)




 

漁獲量            4,026.5トン
製品量            3,928.0トン
  &nbspスケソウダラ    312.8トン
  &nbspホッケ           3,341.0トン
  &nbspマダラ              108.1トン
  &nbspカレイ類           204.9トン
  &nbspその他底魚       59.7トン

調査の目的・ねらい・実施概要

<調査の目的> 北海道日本海海域において調査を行い、かけまわし漁業を対象として、新たな漁業生産システムによる生産コストの削減、漁獲物の付加価値向上、漁労作業の省力化、選別式漁具の開発等を目的とした調査を実施する。

<調査のねらい>
1. 漁業生産目標としては、生産製品数量4,075トンとする。また、当該システムの想定採算分岐金額に対する漁獲金額の割合を向上させるため、販売目標金額を199,675千円とする。
2. 選別処理に係る省人・省力化を図るとともに、資源管理の観点から小型魚を逃避させるための選別式網を開発する。
3. 網をネットリールに容易に巻き込めるような副漁具の改良を行う。
4. 漁獲物の販売単価の向上を図るために、主要漁獲物であるスケトウダラ、ホッケの鮮魚販売比率の向上を図るため市場調査を行うとともに、洋上にて冷海水を使用し沖〆したスケトウダラ、ホッケをフィッシュポンプによる水揚げして当業船のものに対して差別化を図る。
5. 既設製氷機の有効利用を図り、氷代の節約や省力化に対する効果確認を行う。

<実施概要>
1.操業・漁獲・生産概要
  &nbsp4月1日~6月15日まで及び9月1日~3月31日までの計9.5ヶ月間用船し、北海道日本海海域において操業調査を行った。漁場滞在日数は146日(月平均16日)で、操業回数は867回であった。漁獲量はホッケ・スケトウ・カレイ類・マダラを主体に4,026トンで、製品量は3,928トン、総水揚げ金額は168,989千円(税込み)であった。

2.選別式網の開発
  &nbsp漁獲物選別処理に係る労力の軽減と資源管理からの観点から小型魚を逃避させるための選別式網(二階層式)を作製した。当該漁具は身網部分で、ホッケとカレイ類の分離を図ることをねらいとし、身網部分及びコッドエンドを二段式とした。操業試験の結果、ホッケ、カレイ類ともにその大半が上部コッドエンドに入網し、改良が必要であることが判った。 また、上記選別式漁具開発に必要なかけまわし網漁具の挙動に関する情報を得るため、水中ビデオカメラ、水深計及びドップラー流速計を用いた調査を行った。

3. 副漁具の改良
  &nbsp副漁具の改良については、懸案であった手木の取り外しに要する時間が、当該作業の習熟が進んだことにより短縮され揚網作業の効率化が図られたと判断されたため行わなかった。

4.漁獲物の付加価値向上
  &nbsp漁獲物の販売単価の向上を図るため洋上にて冷海水を使用しホッケの沖〆製品を生産し、フィッシュポンプにより水揚げして販売した。中型のホッケ主体となった9~10月には水揚げ単価が通常製品よりも1~4円向上し、中・大型個体主体の漁獲の場合は、この手法による製品の差別化の可能性があることが示唆された。また、鮮魚向け販売比率向上については、北海道機船漁業連合会にて販売経路拡大をねらいとした種々の事業を実施中である。

5.製氷機の有効利用
  &nbsp既設の製氷機の有効利用について検討を行ったが、現在の作業甲板内の機器・配管等の配置を変更しない限り実現は困難であると判断された。
 
漁業種類及び調査期間 調査海域 調査船 漁獲対象魚種

ハイブリッド・トローラー
(H15.7~16. 1)



 

北大西洋西部海域




 

第7安洋丸
(280トン)



 

漁獲量                    222.7トン
製品量                    174.8トン
  &nbspカラスガレイ            78.2トン
  &nbspアカウオ                     7.8トン
  &nbspホッコクアカエビ  116.4トン
  &nbspその他                     20.3トン

調査の目的・ねらい・実施概要

<調査の目的>
  &nbsp北大西洋西部海域において、トロール漁法と底はえなわ漁法を組み合せることによる新たな操業形態への移行の可能性を調査する。

<調査のねらい>
1. 平成15年度の漁業生産目標としては、生産製品数量245トンとする。また、当該システムの経済的採算性を検討するため、底はえなわ及び底びき網操業時の1日当たりの生産金額を比較する。
2. 底縦はえなわ調査においては、NEAFC水域の海山漁場において漁獲効率の向上を図るため底縦はえなわ漁法を導入する。
3. エビトロール調査においては、ホッコクアカエビのL・Mサイズを狙いとした深い水深帯での操業を行う。

<実施概要>
1.操業・漁獲・生産概要
  &nbsp第1次航海(底縦はえなわ調査)では、8月9日から9月24日までの間、 NAFO (3LMO区)公海域の水深210~670mで底縦はえなわ漁具を用いた操業調査を30回行った。その結果、アカウオ1.0トン、カラスガレイ2.3トン等、合計7.9トンを漁獲し、アカウオ0.5トン、カラスガレイ1.6トン、合計2.1トンの製品を生産した。
  &nbsp第2次航海(エビトロール調査)では、10月3日から11月11日まで NAFO 3M区公海域でホッコクアカエビを対象として水深240~450mでエビトロールによる操業調査を82回行った。その結果、ホッコクアカエビ82.6トン、アカウオ0.2トン等、合計83.4トンを漁獲し、ホッコクアカエビ82.6トンの製品を生産した。
  &nbsp第3次航海(エビトロール調査)では、11月21日から12月18日まで NAFO 3M区公海域でホッコクアカエビを対象として水深325~445mでエビトロールによる操業調査を68回行った。その結果、ホッコクアカエビ33.8トン、アカウオ0.1トン等、合計34.1トンを漁獲し、ホッコクアカエビ33.8トンの製品を生産した。
  &nbsp第4次航海(底魚トロール調査)では、12月25日から平成16年1月26日まで NAFO 3L、3M区公海域でカラスガレイを対象として水深660~1,120mでトロールによる操業調査を53回行った。その結果、カラスガレイ75.8トン、アカウオ6.4トン、その他15.1トン、合計97.3トンを漁獲し、カラスガレイ50.8トン、アカウオ3.4トン、その他2.1トン、合計56.3トンの製品を生産した。
  &nbsp4航海合計の総生産製品数量は目標の71%に相当する175トンであった。底縦はえなわ及び底びき網操業時の1日当たり推定漁獲金額は、前者は25千円(過去3か年平均販売単価に基づく)、後者は741千円(根拠同前)であった。

2.エビトロール調査の結果、深い水深帯で操業を行うことによりホッコクアカエビのL・Mサイズの増産が可能であることが確認された。

3.当初予定していたNEAFC水域の海山漁場における調査は、漁獲割当量の関係で実施できなくなり、NAFO公海域での調査に変更せざるを得なかった。このため、根掛かり等の漁具損耗に対する底縦はえなわ漁法導入の効果については検証出来なかった。