平成18年度センター機関評価会議結果概要
独立行政法人水産総合研究センター(水研センター)は、中央省庁等改革により、 平成13年4月1日に、これまでの水産庁研究所を統合して新たな組織として設立されました。その後の法人等改革の流れを受けて、平成15年10月1日には認可法人海洋水産資源開発センター及び社団法人 日本栽培漁業協会の事業を引き継ぎ、また、平成18年4月1日には独立行政法人さけ・ます資源管理センターと統合し、組織の改編を行いました。
業務を進めるに当たっては、法律の定めるところにより、あらかじめ農林水産大臣から 示された5年間の中期目標(第2期は平成18年~22年度)をもとに、それを達成するための中期計画について、 主務大臣の認可を受け、中期計画に基づき、毎年度の業務運営に関する年度計画を定めています。 また、毎年度の業務の実績については、独立行政法人評価委員会の評価を受けることとなっています。
水研センターでは、これら法律に基づく評価に先だって外部委員を招き、各組織段階で評価会議を開催 (第2期評価の流れ図(PDF:144KB)参照)し、自己評価・点検を行い、その結果を研究資源配分や 業務運営等に反映することとしています。
第2期の初年度である平成18年度の業務の実績についてのセンター全体の機関評価会議 (センター機関評価会議)が、平成19年6月19日に開催されましたので、以下にその概要を報告します。
1 開催日時:平成19年6月19日(火曜日) 14時~17時15分
2 開催場所:クイーンズタワーB 7階会議室D
3 出席者
外部委員
會 田 勝 美 東京農業大学 総合研究所 教授
大 熊 幹 章 財団法人 日本住宅・木材技術センター 客員研究員
鈴 木 輝 明 全国水産試験場長会 会長(愛知県水産試験場長)
田 附 り か 時事通信社 編集局水産部 記者
藤 田 純 一 社団法人 マリノフォーラム21 専務理事
松 本 敏 夫 農林漁業金融公庫 理事
森 本 稔 財団法人 日本鯨類研究所 理事長
水産総合研究センター委員
川 口 恭 一 理事長
松 里 寿 彦 理 事(企画担当)
黒 元 重 雅 理 事(総務・財務担当)
石 塚 吉 生 理 事(研究担当)
井 貫 晴 介 理 事(栽培・さけます担当)
小 松 正 之 理 事(開発調査担当)
市 毛 光 三 監 事
齋 藤 彰 範 監 事
淀 江 哲 也 経営企画部長
松 岡 克 宜 総務部長
和 田 時 夫 業務企画部長
玉 井 恭 一 業務推進部長
福 永 辰 廣 業務推進部 次長
熊 谷 徹 開発調査センター所長
来賓
魚 住 雄 二 水産庁増殖推進部 参事官
大 隈 篤 水産庁漁場資源課 課長補佐
佐々木 正 吾 水産庁栽培養殖課 課長補佐
事務局
水産総合研究センター評価企画課
4 結果の概要
議 題 | 結果の概要 |
1.開会 | 経営企画部長から開会が宣言された。 |
2.理事長挨拶 | 理事長から挨拶が行われた。 |
3.来賓挨拶 | 水産庁増殖推進部参事官から挨拶が行われた。 |
4.出席者紹介 | 経営企画部長より出席者の紹介が行われた。 |
5.資料の確認 | 経営企画部長より資料の確認が行われた。 |
6.座長の選出 | 水産総合研究センター評価会議等運営要領第27条に基づき、 外部委員の會田委員が座長に選出された。 |
7.平成17年度改善を要する問題点と改善方策のフォローアップ | 経営企画部長から平成17年度及び第1期中期目標期間における改善を要する問題点と改善方策のフォローアップについての 説明が行われた。 「平成17年度及び第1期中期目標期間における改善を要する問題点と改善方策のフォローアップ」参照 |
8.平成17年度外部委員意見に対するフォローアップ | 経営企画部長から平成17年度及び第1期中期目標期間における外部委員意見に対するフォローアップについての説明が行われた。 「平成17年度及び第1期中期目標期間における外部委員意見に対するフォローアップ」参照 |
9.平成18年度の独立行政法人水産総合研究センターの業務の実績及び評価 | |
(1)水産総合研究センター第2期の体制の紹介 | 経営企画部長より資料に基づき、水産総合研究センターの第2期の体制 について説明が行われた。 |
(2)水産総合研究センター機関評価会議について | 経営企画部長より資料に基づき、水産総合研究センター機関評価会議 について説明が行われた。 |
(3)センター全体の業務実績及び自己評価結果 | 水研センターより、平成18年度における業務実績と評価に関する事項についての説明を行い、 その後これらについて以下の質疑応答が行われた。 Q:18年度から非特定の独立行政法人となり国家公務員でなくなって何か大きく変わったことやメリットはあるか。裁量労働制の対応いかん。 A:最も大きな点は民間との人事交流が柔軟にできることで、実際に民間から研究所に部長を迎え、活発な活動をしている。また、業績評価を研究費や処遇に反映しつつある。裁量労働制は本年7月より導入予定。 Q:まぐろ研究所はバーチャルということだが、どのような狙いがあるのか。 A:これまではマグロに関するセンター内の各組織が個別に仕事をしてきたが、それぞれの研究分野を連携し、蓄えられた知識、意見を交換していけば、より早く問題を解決できるということで設立した。養殖業等の経営をより良くするよう現場のニーズに対応して技術開発し、貢献していきたい。 Q:研究開発の評価基準にアウトカムの視点を取り入れたとのことだが、アウトプットとアウトカムの関係はどういうものか。また、水産研究の場合にはアウトプットからアウトカムに行く間に、例えば商品を開発するなど水研センターが最終的なアウトカムまでは行かない場合があるが、その点はどうか。 A:アウトプットは論文や研究の結果判明したことなど直接的な成果であり、アウトカムはそのアウトプットを使って得られる社会的な貢献や効果である。水研センターとしては中期計画にある水産物の安定供給をはじめとした3本柱をアウトカムと捉えている。アウトカムの視点からの評価は、水産物の安定供給といった社会的効果、すなわち出口を見据えて研究開発に取り組んでいるかどうか、というベクトルを評価していくものである。さらに、社会的ニーズや課題の問題点をきちんと把握しているかというロードマップ評価と、計画に対する進捗評価から評価している。 Q:さけます研究について組織として融合が目標と書かれているが、融合の目標とその現状はどうか。 A:18年4月から統合し、さけますセンター支援部門の人員体制のうち一部を本部に移動したほか、東北区水産研究所や日本海区水産研究所に調査普及課を新設して活動している。本州のさけます増殖を支援する調査普及課を作り、指導・助言を行ったことで、地域のふ化率が10%上がったという成果もでている。また、さけますセンターには11名の研究開発職員がいて、これまでも北海道区水産研究所や内水面の研究所と連携していたが、組織が一つになったことで連携をより一層強化していくことで成果が上がっている。 Q:研究所等の評価委員会のメンバーには、解決すべき課題を抱えている漁業者団体等業界からの委員も入れて評価を行っていくべきではないか。 A:研究所の課題評価は専門性が高いため、学術的な専門家にお願いしているが、漁業者団体からの意見については別途運営会議を開いて把握している。また、開発センター等では漁業者団体からの外部委員を入れている。 その他、「水試ではできない研究、例えば、水産物市場のグローバル化を踏まえた需給動向を分析し、それを見定めた水産業の方向性についての研究や、省エネ漁船などの研究に期待する。」「マグロの次はウナギの供給が危なくなると報道が騒いでいるが、国民は報道が不安をあおることによってさらに不安を感じる。マグロやウナギはあと何年ぐらいで完全養殖できるのか、だいたいの目途をプレスリリースすれば国民は安心すると思うので、進捗について適宜知らせて欲しい。」等の意見が述べられた。 |
(4)総評 | 各外部委員から全体を通して以下のような意見が述べられた。 ・日中韓三国間のMOU締結にとどまらず、さらに研究交流が推進されていることを評価する。 ・昨今の新聞を賑わしているように欠損金を出し、政府が穴埋めをしているような独立行政法人がある中で、欠損ではなく剰余金を出し、予算内でやっていることをもっと評価すべきではないか。 ・研究成果を見ると、例えばマイクロアレイの成果などのように、以前より産業、民間との距離が縮まってきたという気がしているし、そのような成果が増えていると感じた。他方、水産経済分野の研究については漁業経営への結び付けを強化して欲しい。 ・個人業績評価はとても難しいが、研究は目線の長いものもあるだろうし、個人の目標達成度をもっと大事にしてやって欲しい。また、人材の育成も重要である。 ・まぐろ研究所設立、大型クラゲ対応、日中韓MOUなど、国民の関心事項に的確に応えていることを評価する。 ・温暖化の影響で南方の魚が現れたりしており、漁業者は資源回復計画を策定しても、その達成に悪影響が生じるのでないかと不安に思っている。この温暖化の影響や影響を低減することに役立つ研究に取り組んで欲しい。 ・公益法人等が開催する各種の調査検討委員会の委員に水研センターの職員が就任され専門的立場から適切な助言をしてもらっているが、この点は高く評価されるべきと思う。 |
(5)総合評価 | 18年度計画の大項目毎の自己評価結果及び中期計画第2の2「研究開発等の重点的推進」におけるS評価、 財務諸表の内容、中期計画に記載された事項以外の業務等に基づいて協議を行った結果、 センターの18年度の業務実績の総合評価は「A(業務が順調に進捗している。)」とされた(業務実績総合評価票参照)。 |
10.その他 | 理事長から挨拶が行われた。 |
11.閉会 | 経営企画部長から閉会が宣言された。 |
水産総合研究センター機関評価会議外部委員名簿 (敬称略、アイウエオ順)
會 田 勝 美 東京農業大学 総合研究所 教授
大 熊 幹 章 財団法人 日本住宅・木材技術センター 客員研究員
鈴 木 輝 明 全国水産試験場長会 会長(愛知県水産試験場長)
田 附 り か 時事通信社 編集局水産部 記者
藤 田 純 一 社団法人 マリノフォーラム21 専務理事
松 本 敏 夫 農林漁業金融公庫 理事
宮 原 邦 之 全国漁業協同組合連合会 代表理事専務
森 本 稔 財団法人 日本鯨類研究所 理事長