国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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2011(H23). 8. 9 三陸沿岸のアワビ、ウニへの津波の影響を調査 ~アワビ稚貝に深刻な被害~

平成23年8月9日
独立行政法人水産総合研究センター

 

三陸沿岸のアワビ、ウニへの津波の影響を調査
~アワビ稚貝に深刻な被害~

 

 水産総合研究センターでは、平成20年度より東京大学、宮城県と共同で、宮城県石巻市泊浜 (とまりはま) と同県気仙沼市岩井崎 (いわいざき) におけるアワビ調査を実施してきました。本年 6月に、この 2海域で東日本大震災後では初めてとなる潜水調査を実施し、重要な漁業資源であるエゾアワビ、キタムラサキウニ等の状況を震災前 (2010年11月 ~ 2011年2月) と比較しました。

 泊浜ではエゾアワビ親貝が約 50%の減少、キタムラサキウニは 90%以上の減少という大きな被害が確認されましたが、岩井崎ではキタムラサキウニに目立った減少は見られず、エゾアワビ親貝も約 30%の減少にとどまったことから、被害状況は海域により異なることが明らかになりました。

 一方、 2海域に共通して2010年の秋に生まれたエゾアワビ稚貝 (3月時点の殻の推定長径は 10mm前後) が 90%以上減少していたことから、最も水温が低下する 3月の津波によって、低水温に弱いエゾアワビ稚貝に深刻な被害が出ている実態が明らかになりました。

 エゾアワビ稚貝への被害により、これらが漁獲対象となる 3 ~ 4年後のアワビ漁に影響が出る恐れがあります。今後は、各地のエゾアワビ稚貝被害状況を把握するとともに、私たちの研究成果等を活用し、被災したアワビ等の漁業資源の着実な回復を図るための取り組みを強化します。

 

※ 本調査は、農林水産省の「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業 (再生産力の向上を目的としたアワビ類の資源管理・増殖技術の開発) 」の一環として実施されたものです。

 

参考(PDF:1,600KB)